帳簿に書いてあるデータをもとに計算した会社の価値のことを「簿価純資産」と言います。計算方法は、会社が持っている全ての財産から借金などを引いた「純資産額」を、発行している全ての株式数で割った1株あたりの金額になります。帳簿のデータは、1万円で買ったものはその後値下がりして5千円になっても1万円のままなので計算は早く簡単にできますが、実際の会社の価値とはずれがあります。これに対し、帳簿のデータをそのときの価格に変更して計算した会社の価値のことを「時価純資産」と言います。そのときの価格への変更は難しいものもあるので、金額の大きい重要な財産だけの価格を変更する方法もあります。
簿外債務(負債)
帳簿に書かれていない「お金を払う義務」や「何かをしなければならない義務」のことです。M&Aでは、買おうと考えている会社の価値を正しく計算するために簿外債務(負債)は必要な情報です。具体的には、負けて賠償金を支払う可能性のある裁判をしている、他の会社の借金の保証人になっている、返してもらえない可能性のある貸したお金がある、まだ払っていないお給料やボーナスがあるなど、いろいろなものがあります。簿外債務(負債)を見つけるためには、会社のいろいろな規則の他に取引先などとの契約書をチェックしなければなりません。
保険解約返戻金
保険の契約を途中でやめたときに保険会社から戻ってくるお金のことです。でも、それまで払った保険料が全部戻ってくる訳ではありません。契約をやめた時期や保険の種類で戻ってくる金額が変わります。会社が社員のために契約する保険の中で貯金のようにためておくタイプの保険料は「保険積立金」として会社の財産のリストに加えます。しかし、契約を途中でやめると最後まで保険料を払った時に比べて戻ってくるお金が少なくなるので、M&Aによって会社を買った新しい持ち主が保険をやめてしまうと損することになります。